Specialist 職人の語り
プロフィール
中村 琢さん(Taku Nakamura)

1985年第一回ソムリエ試験にて資格取得、フランス料理レストランでソムリエとして働く。
1992年と1993年にかけてフランスのポーイヤックとエルミタージュにてワイン醸造の研修。
1994年恵比寿にあったタイユヴァン ロブションのオープンとともにソムリエとして入社、
シェフ ソムリエとして閉店までの10年間働く。
2000年秋シュバリエ ド タストヴァンを授与。
2001年から地元横浜でビオだけにこだわったワインバーを開店。
職人気質の独特な雰囲気と語り口で、ファンやリピーターが集う。
年に二度、パリにて買付け。
帰国後は、いつも新作メニューが楽しみ!

横浜・麦田の自然派ワインバー ランジュヴァン
http://www.l-angevin.com/


姉妹店 ブティック プティガラージュ
http://www.l-angevin.com/info/info_petit/index.html

2010.9.28 エルミタージュ再訪

8月31日、パリ、 リオン駅をTGVで出発してヴァランスTGV駅まで行きそこからバスに乗り換えヴァランス ヴィル駅まで、在来線のリオン行きに乗り換えて次ぎの停車駅がようやくタン レルミタージュです。乗り換えが結構面倒なので今度はリオンまで行き、そこから在来線で南下しようかな!と思いました。電車を降りると目の前にHermitageの斜面畑が広がっています。


ローヌ河のすぐ後ろにそびえ立つ急斜面の段々畑は、とても見ごたえのある風景です。

エルミタージュの土質はリヨン県あたりから続く花崗岩がベース、丘の斜面はいくつかの区画に細分されています。
各区画畑も表面近くの土質は、石灰岩、粘土、火打ち石などで、表面も大きい石や小さい石、小石だらけの所や赤い土とバラエティーに富んでます。丘の南側は急斜面が多く、畑を突っ切って頂上まで登るのも結構大変だな!といつも思います、畑仕事や摘み取りなんかはきっと重労働ですよね。

丘の南斜面の一番標高の高い所にある区画畑、Le Gros des Vignes,ここのすぐ上に昔のシャペル(礼拝堂)があります。このシャペルは今でもジャブレ家の持ち物なのでしょうか?

この区画畑よりやや東にL,Hermiteがあり標高240M位、その左下にはLe Bessardがあり、その下がLes Greffieuxという区画畑、この3つの区画畑は良質のワインが出来るので有名です。

起伏に富んだそれぞれの畑には、地中海性のミクロ クリマが微妙に影響を与えています。

エルミタージュのワインは伝統的にそれぞれの区画畑のワインをブレンドし、より完成度の高いワインを造り出していますが、最近、単一の区画畑だけで畑の個性を前面に出したワインを生産する造り手も現れています。シャプティエ社がその代表だと思います。

同じ北部ローヌワインのコート ロティでは以前から単一区画畑のワインを販売して、成功をおさめている生産者が多く存在していますが、エルミタージュもその流れが来ているようです。ブルゴーニュ ワインのようなテロワールを表現するかのようなワイン造りに、北部ローヌ ワインの生産者も移行してきているんだなと思います。

栽培されているぶどうは、白ワイン用にルーサンヌとマルサンヌ、赤ワイン用にはシラー。白ワイン、赤ワイン、それにヴァン ド パイユというぶどうを乾燥させ糖分を高めて造る甘口白ワインの生産がAOCで認められています。

タン レルミタージュの小さな駅を出て駅前通りアヴェニュ デュ ドクトゥール ポール デュランを歩いていきますと、途中、左手にシャプティエ社がありワインを買えるブティックも併設してますので、一見の価値ありです。ワインを一本でも買えばテースティングさせてもらえると思います!

タン レルミタージュのメインストリートに突き当たったら左折して直進すると、左手にローヌ河に架かるポン マルク セガンという大きな木の橋がありますので、その橋を渡ります。結構橋が老朽化してますので高所恐怖症の人は下を見ないほうが良いと思います!橋の床は隙間だらけなのでマジに怖いですよ。橋を渡りきるとトゥールノンの街に到着します。ここトゥールノンはACサン ジョセフを生産する場所になり、その最高の畑がトゥールノンの急斜面にあります。

この街にあるシャトー ド トゥールノンから対岸のエルミタージュをみる風景は最高!

ポン マルク セガンの道を挟んで斜め前に、僕が以前お世話になっていたホテル レストラン

 LE CHATEAU(12 Quai Marc Seguin 07330Tournon Sur Rhone

 Tel 33 4 75 08 60 22)があります。

グラさん親子が経営する素敵なオーベルジュで、アルデッシュ県やドローム県のスペシャリティなどが堪能できます。部屋から望む対岸のエルミタージュの風景は、とてもすばらしくて心を癒されます。こちらに旅行されたらば是非このオーベルジュに滞在して下さいね!

パリを離れ一泊二日の小旅行でした。


2010.6.24 夏はやっぱりパスティスですね



もうすぐ暑い夏が今年もやって来ます、強烈な日差しと蝉の鳴き声、もう一つ思い出すのがパスティスです!パスティスってなんぞや?と思う人もいると思いますが1915年に製造 流通 販売が禁止されたリキュール、アブサンの代用品として生まれたお酒です。

マルセイユ産のアニス リコリス フェンネルなどのハーブが原料になります。
日本ではリカール(Ricard)ペルノ(Pernod)などが有名ですが
サンカンティアン(51) ベルジェ(Berger) デュヴァル(Duval)などフランスのスーパー マーケットのお酒コーナーに行くといろいろなメーカーのパスティスが棚に並んでいます。味のほうもアニスの成分が濃かったり、リコリスの味が強く感じられたり、甘味が少なかったりと飲み比べも楽しいのですが、アルコール度数40~45%あるので泥酔は覚悟ですね!




夏が近くなるとこのパスティスを飲みたくなります、南仏プロヴァンスで製造されるお酒、夏のヴァカンスというイメージが連想されるせいでしょうか?僕的には別に寒い冬に飲んでも美味しいのですが、フランスの方もパスティスは暑い時に飲む人が多いそうです。

ちなみにパスティスの全身であるアブサン(Absinth)はアルコール度数が70%前後のものが多く薬草系リキュールで、ニガヨモギ アニス ウイキョウ等のハーブが主成分になります。なんで禁止になってしまったのかというと、ニガヨモギの香味成分のツヨンに向精神作用をひきおこす成分があり、中毒症状にかかる人が続出したらしいのです。ロートレックやゴッホもアブサン中毒のメンバーですよね!1980年代にはこのツヨンの毒性を取り除いたアブサンが再び売り出されています。

パスティスは普通水で割って氷を2つくらい入れて飲みます。午後の死というカクテルはカクテル グラスにパスティス(ペルノ)を入れマム社のシャンパンを注いでいきます。これはアーネスト ヘミングウェイが考案したカクテルと言われてます。僕はパスティスにミントのシロップ(アルコール無し)を加えそれを水で割るペロケというカクテルが好きです。ちなみにペロケとはオオムのことです。

以前働いていたレストランでジャン レノさんを接客した時のことですが、食前酒を伺いにいくとPetit Pastis Sil Vous Plais!でした、なんと渋いオーダーだな~と思ってしまいました。パスティスは決して高級なお酒ではなく、むしろ一般大衆的な飲み物だからです。


2010.2.28 コルクの話

以前、レストランで働いていた時、お客様からよく赤ワインの古酒の注文を頂きました。

そのワインの抜栓作業中に、怖い顔をした支配人に「コルク絶対に折るなよ!」と耳元で囁かれ、とっても緊張した経験が何度もあります。

年代物のワインの中には30年位に一度、古いコルクから新しいコルクに取り替えるリコルクという作業をしたワインがあります。
が、このリコルクがされていない赤ワインの古酒の抜栓が一筋縄には行きません!


お客様から年代者のワインを注文していただきとても嬉しいのですが、次の瞬間から崩れやすくとても繊細なコルクとの戦いが始まります。

パニエに横たわるワインのキャップシュールを慎重にソムリエナイフで取り除くと、黒いカビ状のものに覆われたコルクの先端部分が顔を出します。ナプキンを使い静かに丁重にふき取ってから、ソムリエナイフのスクリューの部分を、柔らかく湿ったコルクの頭の部分に少しだけ差込ますが、このファースト コンタクトでこのコルクは手ごわいかどうかの判断ができますから、どのようにスクリューを入れてどの位の力加減で引き上げるか、などを瞬時で判断します。そして全神経を右手に集中させゆっくりとソムリエナイフを回転させて、スクリューをねじ込んでいきます。 




次が最大の見せ場というと大袈裟ですが、コルクの引き上げ作業を開始します!

更に右手に神経を集中させ、ソムリエナイフ全体を手の平に包み込むような感じで持ち、少しずつ1ミリ単位で引き上げていきます。もし途中でコルクが折れそうだな、と思う瞬間があれば、一度作業を中止してコルクを指で触り、感触を確かめてから再度挑戦していきます。 

当然の事ながら、お客様の視線は重くプレッシャーとなりますが、そこは笑顔で余裕のポーズ、優しく、丁重に、ゆっくりと、この3つのポイントをしっかりと守り、1ミリずつコルクを引き上げて行きます。

ワインのラベルを集めている人がいますが、私はコルクを集めています。

特に古いヴィンテージのワインのコルクに限りますが、そういったコルクは、ぼろぼろでいびつな形になってしまっているものが多いのですが、そのコルクに触りしみじみ眺めていると、何年もの長い間ワインの品質を守り、熟成させてとても素晴らしい味わいを造り出したコルクに、感謝の気持ちでいっぱいになります。 

コルクの状態の良し悪しで、ワインの味わいに大変大きな影響を与えます。レストランなどでワインを注文し、抜栓されたコルクがテーブルに置かれたら、そっと手の中に入れて握ってみて下さい。弾力の無いコルク栓は乾いているので、細胞が死に、空気の出入りがあったかも知れませんから、要チェックです。


■2009.6.1 美味しいお肉、食べるならココ!

パリに来ると、滞在しているホテルから徒歩でいけるVHBとFnacによく買い物に行きます。VHBは、日本の東急ハンズのようなお店で釘一本からソファやバスタブまで売っていますので、とても便利です。特に地下一階は日曜大工のようなコーナーになっていて、ちょっと変わったお土産を探している人は要チェックです。Fnacは本やCDを売るお店で、フランス各地にありますが、パリのレ アルに入っているFnacは商品がとても充実しているので、ワインや料理関係の本を買い求めに行くのに便利なお店です。この日もワインの本を買いにFnacに寄り、そろそろお昼でお腹も空いてきたので、ボリュームのあるものを食べようと思いつき牛肉料理の専門店、ル セヴェロに電話をしました。このお店、パリの14区、衣料品のストック街で有名なアレジア通りのすぐ近くにあります。20人も入ればいっぱいになってしまいそうな小さなお店の壁には、黒板に書かれたワインのリストがずらり、そのほとんどがVin Nature自然派のワインです。前回も食べて感動した豚の血と脂を腸詰めにしたソーセージ、ブーダン ノワールを迷わず注文しました。

ここのブーダン、メチャクチャ美味しいんです!いろいろなお店で食べましたが、ここのお店のがブーダン ランキング一位です。直径8センチくらいのものを筒切りにして香ばしく焼き上げ、リンゴのピュレが下に添えられています、お値段10ユーロ。それから僕はフォー フィレ(外ロースの一部)のステーキをセニャン(ミディアム レア)で注文しました。フランスで牛肉のステーキを食べると、あまり美味しいものに当たらないのですが、セヴェロのステーキは美味い!熟成された肉の旨味があり、適度な歯ごたえとジューシーな味わいは最高でした。こちらは27ユーロ。

彼女の注文したバヴェット ステーキ、よだれ掛けとか臓物を扱う職人の前掛けの意味をもつこのお肉、牛のサーロインの下方にある上方腹部肉、ハラミのステーキです。

フランス中のカフェの定番料理です、脂と筋が多く、噛めば噛むほど旨味があるお肉なんですが、セヴェロのバヴェットは違いました、良い意味で!ピンク色に輝く綺麗な肉は、とても柔らかく、ジューシーで上品な味わいはとても新鮮で、肉の鮮度が物凄く良く、熟成させて旨味を出す他の部位とはぜんぜん違いがあるんだな~っととても関心してしまいました。以前、バヴェットはステーキなのに内蔵料理に入るんだよ、と聞いた記憶があるんですが、なるほど、それならフレッシュな肉のほうが美味いに決まってますよね!この美味しいバヴェットが20ユーロでした。ボリュームのあるお肉料理に合わせて、僕の大好きなコート ロティ コート ブリュンヌ2003年を注文、ローヌ河北端にあり、目もくらむような急斜面にしがみつくような感じで畑があります。ほとんどがシラー種で、ほんのわずかに白ぶどうのヴィオニエをブレンドして造られるワインは、スパイシーな果実味で、骨格のしっかりとした酒質を持ち、綺麗な酸味が心地よい味わいです。こちらは90ユーロ、それにミネラル ウォータのシャテルドンを注文、誰が言ったか分かりませんがミネラル ウォーターのドン ペリニョンと言われるだけあり、とてもバランスの取れた飲みやすい微発泡の水です。ちなみに6ユーロ。お昼から贅沢に食べて飲んで、大満足でした。

 RESTAURANT LE SEVERO

8rue des plantes
75014  paris
01 45 40 40 91


■2009.3.9 お気に入りのカフェがあります!

最近、パリに到着してから長旅の疲れを取りに一杯のビールを飲みに行く習慣があります。
定宿にしているホテルから、歩いて5分くらいの
リュウ サン タントワーヌという通りに面した場所にある、
カフェ フォンテーヌ シュリイというお店です。フランスっていたるところにカフェがあって、みなさんそれぞれお気に入りの店があるようですが、まぁ大体の店は、かなりよごれが目立ったり、親父が無愛想で注文もなかなか聞きに来なかったりしますよね、シャンゼリゼ界隈とかモンパルナス辺りの超有名なカフェは別として、まぁそれがあたりまえなんですけど。僕もパリの空気に体が馴染むと気にならなくなりますが、到着したばかりだとどうも、、、そういう感じの時に、何故か居心地が良く、日本時間からフランス時間に変えてくれるような場所がこのお店なのです。そして、ハマッているのがグリンベルゲンというベルギービールの生、琥珀色をしていかにも濃くがありそうです。ほどよい苦味と甘味のバランスがよく、柔らかい酸味が気持ちの良い味わいです。フランスっていうとワイン大国だと思いますが、みなさんとってもビールが好きですね。日本のように食事をビールで通すという人はいませんが、朝ビー、昼ビー、は日常の生活に溶け込んでいるようです。ビールはもっぱらブラッスリーやカフェで飲まれていて、レストランで注文する人はあまりいません。ビールを飲ませる場所として生まれたブラッスリーは、ビール工場という意味で、ビールの本場、アルザスの人たちがパリに来て始めたお店です。生ビール下さい!フランスではユンヌ プレッション、シルヴ プレ!になるんですが、アン ドゥミ シルヴプレ!でもOKです。何でドゥミなのかなっと思っていたら、本来、ドイツなどでビール1杯の呼び方が une pinte 50clのことを指すので、フランスでは、une pinteの半分の量、25clででてくるビールを un demi(半分)といって注文するそうです。ちなみにこのグリンベルゲン一杯4.2ユーロでカカウェット(ピーナッツ)が付いてきます。

仕入れの間、お昼ご飯もカフェでいただきます。問屋街に程近く、メトロ アーゼメティエのすぐ出口あたりにある、アブサン カフェというお店が最近のお気に入りです。カフェなのに、物凄い人気で皆さん予約して食べに来ているようです。今回、僕たちはプラ ド ジュール(その日の料理)をそれぞれ注文しました。プティ サレ オ ランティーユ(塩付け豚とレンズ豆の煮込み)を選びましたが、口の中でほどけていく柔らかい豚肉は、塩加減もちょうど良く、ふっくらとしたレンズ豆の甘さととっても相性が良い一皿でした。パンがついて13ユーロです。午後の仕事を考え、またまたアン ドゥミ シルヴプレ、今度はフランスの国民的なビール、クローネン ブルグを注文しました。グリンベルゲンとは対照的に、軽やかでフルーティな味わいのビールです。日本で生活していると、やはり昼間からアルコールは、、、、と思うのですが、こちらに来るとどうもその考えが逆になってしまうようです。


■2009.2.28

2月2日より仕入れのため、パリに行ってきました。今年はかなり寒さが厳しく、シャルル ドゴール空港を飛行機から見下ろしたときに、飛行場は雪で真っ白になっていました。

パリに到着して、その日の夜僕たちが向かった行き着けのお店、カフェ デュ パッサージュを紹介したいと思います。場所はバスティーユ広場から徒歩で7分くらいの所にある、シャロンヌ通りにあります。外観はモダンなカフェという感じで、ここで美味しいワインが飲めるのかな?と思うのですが、お店のパトロンのおやじがコート デュ ローヌのワイン産地の出身でローヌワインの品揃えがかなり充実しています。特にコート ロティはいろいろな醸造家のものがあり、イヴ ガングロフの90年代後半のヴィンテージなど、日本ではなかなか飲めないワインなどもありました。お店の中央の壁には、ローヌ地方北部の有名な醸造家の顔写真が、まるで映画スターのように飾られています。ここは、レストランでもビストロでもありません、食事をきっちりと食べなくてもOKです。この日僕たち3人は、パテ バスク(バスク地方のパテ6ユーロ)、アシェット コルス(コルシカ産のハム ソーセージ類の盛り合わせ19.8ユーロ)、アシェット フロマージュ(チーズ盛り合わせ18.5ユーロ)をそれぞれ注文しました。そして、白ワインは、イヴ キュイロンの2006年、コンドリュ レ シャイエ(98ユーロ)、久々のキュイロンのコンドリュ、トロピカル フルーツやアンズ、桃の強烈な香りがあり、凝縮した果実味はとても厚みがあって3人とも大満足、コンドリュの美味しさに盛り上がっていると、店のパトロンのおやじも嬉しそうな顔でこちらを眺めています。ここのおやじ、鼻が赤くてとっても人の良さそうな感じ、昔、ワイン造りでこちらで働いていた時に、こういう感じのおやじがよくいました。赤ワインは、フランソワ ビラールのサン ジョセフ ルフェ1999年(78ユーロ)を注文しました。サン ジョセフは、ローヌ河を挟んでエルミタージュの反対側にあり、北はコンドリュに接している大きな生産地です。以前、エルミタージュでワイン造りをしていた時に、サン ジョセフを生産する村に住んでいたので、ここのワインが大好きです。10年近く熟成されたビラールのサン ジョセフは、湿った土や、腐葉土のニュアンスの中に、果実とスパイスが混ざり合った香りがあり、舌触りは滑らかで、果実味に解けたタンニンが心地よい味わいでした。このお店は、バスティーユ広場からほど近くアクセスも良いし、それほどお腹は減っていないけど、ちょとつまみながらワインでも、というときには最高です。グラスワインも数種類あり、気軽に立ち寄れるかわいらしいお店です。

 LE CAFE DU PASSAGE

12 Rue de Charonne 75011 Paris

01 49 29 97 64

■2008.11.17
早いもので、今年もボージョレ ヌーヴォーが出回る季節になりました。日本では、少し過剰ぎみのブームも落ち着いてきたのかな?と思います。新じゃが、新たまねぎ、新米、新茶などそれぞれが出回ると季節を感じますが、ボージョレの新酒が解禁になる頃になると、もうすぐしばれる冬本番なんだなぁ!とやはり季節を感じてしまいます。
そのボージョレ ヌーヴォーなんですが、一般的な赤ワインの醸造方法とは少し違う造り方をします。
マセラシオン カルボニック(炭酸ガス浸漬法)という醸造方法です。原料ぶどうを破砕、除梗しないで全房ごと密閉した発酵タンクに入れ、タンク上部から炭酸ガスを注入します。ぶどうの自重で破砕された果粒から軽く細胞内発酵が始まり、2%程のアルコールを生成します。更にアルコール発酵で得られた炭酸ガスやその他の二次物質が生成されます。炭酸ガスで充満された状況下になると、ぶどうは果皮に含まれる色素を容易に液中に溶け出させ、短期間に果汁に色を付けることができます。そして果皮に含まれる芳香成分が果粒内に流れ出し、独特のキャンディ香が生成されます。このタンク内のぶどうを圧搾して、液体を白ワインと同じように低温で発酵させると、フルーティで渋みの少ない新鮮なボージョレの新酒ができあがります。
ボージョレ以外でもコート デュ ローヌ南部やラングドック ルーションのような産地で、もう少し浸漬(マセラシオン)の期間を長くした同じ醸造方法でワインが造られています。
僕は趣向品、ワインとしてのボージョレ ヌーヴォーよりも
農作物として作られたぶどうが形を少し変えたものと考えたほうが良いかなぁと思っています。少し大げさに言えば、その年に収穫された太陽と大地の恵みであって、寒さで冷え込む体を温めてくれる飲み物、通常のワインのように醸造後の熟成期間が必要とされないため、フレッシュで爽やかな絞りたてのぶどうジュースにおまけでアルコールが入っている大人の飲みもの
ヌーヴォーを飲むときは、必ず冷やしてください。
13℃くらいが丁度良い温度でしょう。爽やかな果実感がよりいっそう強調されます。こってりとした食べ物とは相性が良くないですから、軽めの料理と一緒が良いですね。


■2008.10.11
9月、恒例の仕入れの旅でパリに行って来ました。2年続けて肌寒い気温で迎えられました。今年の夏はあまりお日様に恵まれず冷夏だったそうです。秋の太陽もあまり期待できず、ぶどうの収穫が気になります。悪いことに7月に降った雹でかなりダメージを受けているぶどう畑もあるそうです。
11月の第3木曜日に解禁になるボージョレイ ヌーボー今年は難しい年になりそうです。そんな肌寒い中、滞在初日に行ったお店を紹介します。北駅から歩いてすぐ、古い教会のお隣にあるブルターニュ料理で有名なシェ ミッシェルの姉妹店、シェ カシミールです。外観、内装ともサンパティックな感じで庶民的ビストロの雰囲気を漂わせています。29ユーロの定食のみ、プリフィックスのスタイルで前菜、メイン、フロマージュ、デザートの構成です。3人それぞれ違う料理を注文しました。
ガンバと呼ばれる小エビのブロシェット、メロンと自家製ベーコン、白身魚の軽い燻製を前菜に、これに合わせてロワール地方の白ワインシュベルニーの2006年を選びました。造り手はビオ ワインで特に名を馳せているティエリー ピュズラ、2006年はたっぷりと糖度が上がりグラマラスな味わい、17ユーロでこの味でしたら大満足です
メインの料理は、
カサゴのロースト、ぱりっと焼いた皮目にほんのり甘い甲殻類の風味付けがあり、とても美味しい一品でした。ブレス鶏のロースト、ジロール茸とポテト添え、旬のジロールと、ジューシーで旨味のあるブレス鶏の贅沢な組み合わせは、とても満足のいく料理でしたが、この料理は何ユーロかのシュプレマン、追加料金がかかりました。
豚のほほ肉の煮込み、ブイヨンと根せろりなどの野菜添え。柔らかく煮込まれたほほ肉が優しく口中でほぐれてくるような、ビストロらしい一品。メイン料理に合わせたワインは2005年 コート デュ ローヌ、造り手はシャトーヌフ デュ パプの自然派ヴィエイユ ジュリアンヌ、こちらも天候に恵まれた2005年のもので、濃縮された果実味と程よいタンニンがバランスよくあり、22ユーロでしたら大満足。この店のワインリスト、自然派の生産者が多く、20ユーロ前後で美味しく飲めるものが選ばれていて、とても好感がもてます。プラトー ドゥ フロマージュ、それぞれ好きなものを選びました。暖かみのあるコート デュ ローヌは、どのフロマージュとも相性が良く無難な組み合わせです。最後にヌガー グラッセ、クレーム ブリューレを食べました。プリフィックスの定食の殆どの場合、デザートも最初に決めなければいけませんが、いつも選ぶのが大変です。
本当は、メインの料理を食べた後でゆっくりと選びたいのですが、時間がかかるのでしょうがないですね。シェ カシミール、料理、ワイン、値段ともに満足しました。もう少し料金の高い姉妹店のシェ ミッシェルよりもカリテ プリ 品質と値段のバランスは良いと思いました。

Chez Casimir 6, Rue Belzunce 75010 tel: 01 48 78 28 80
Chez Michel 6, Rue Belzunce 75010 tel:08 99 69 06 79


■2009.09.07
パリに行ってきました!今回も何軒かのビストロで食事をしたのですが、最近の 流行はプリフィックス、値段は大体30ユーロ(4800円位)で前菜、メイン 、デザートの中からそれぞれ3~4種類の料理を選べます。
特別に高級な食材を使った料理などは、シュプレマンでプラス何ユーロかの追加料金を上乗せされます。
ミッシュランの星付レストランは、同じコース料理をデキュスタシオンと呼び、その何倍かの値段を請求するのですが、最近、皿の上の料理だけを見れば、 高級レストランも町場のビストロもクオリティ的には同じレベルだな~と思いま す。高級レストランで仕事を覚えた料理人たちが独立して、より個性的な食の空 間を創りあげている、フランスの古き良き地方の伝統的料理を、現代風にアレン ジし、そこに自分の持っている感性を巧みミックスさせた、ビストロの料理だけ れどもビストロの味では無い、個性豊かな料理をだす店が増えています。勿論、 素晴らしい料理を出すお店ばかりではありませんが!気をてらい過ぎて、空回り してしまった一皿や、時間のたち過ぎた食材が使われた自慢の一品など。有機農法を駆使した自然派のワインを取り扱うお店も、急増しています。また、ワインも買えて、その場で飲めて、料理も食べられるというお店も、パリっ子に受け入れられモードになっています。そういうお店には必ず、自然派のワインが所狭しと置かれ、何の気取りも無いけれど、美味しいハムやソーセージが気軽に食べられるようになっています。ここ10年あまりの間に、フランスのレストラン事情も大きく変化しました。たぶん良いほうに、その時の気分や、食べる相手、財布の中身などで使い分けをしても、それなりに満足できる食の空間が増えたことは、すばらしいことだと思います。
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